コロナ補助金のバラマキで借金が増えたオーストラリア。2022年3月29日に2022/2023 Federal Budget(連邦予算案)が発表されました。昨今のコロナ禍後のキャリア支援や物価上昇対策が盛り込まれています。5月に総選挙があるため、厳しいこともできず一時的な措置といった意外と国民に好かれそうな、選挙対策っぽい内容となりました。選挙で政権与党が負けると色々変更になる可能性があります。
特に日本人に関わってくる項目を見ていきましょう。
個人
Cost of Living Tax Offset。物価上昇対策として、420ドルのCost of Living Tax Offsetが加わります。これはLow and Middle Income Tax Offset(LMITO)の増額という形でタックスリターンで税控除という形で受け取ります。一種の減税です。これは2022会計年度のみで2022年タックスリターンでのみの適用です。税法上の居住者のみ資格があります。Low and Middle Income Tax Offsetも変更はありません。
Taxable Income | 今まで | 2022年の税控除額 |
$0 – $37,000 | $255 | $420追加($675) |
$37,001 – $48,000 | $255 + $37,000を超える部分の7.5% | $420追加($675 + $37,000を超える部分の7.5%) |
$48,001 – $90,000 | $1,080 | $420追加($1,500) |
$90,001 – $125,999 | $1,080 + $90,000を超える部分の3% | $420追加($1,500 + $90,000を超える部分の3%) |
$126,000より上 | なし | なし |
Low Income Tax Offsetは従来通りで変更はありません。上のLow and Middle Income Tax Offsetに加えての税控除です。
Taxable income | 税控除額 | |
$0 – $37,500 | $700 | |
$37,501 – $45,000 | $700 + $37,500を超える部分の5% | |
$45,001 – $66,667 | $325 + $45,000を超える部分の1.5% | |
$66,668より上 | なし |
メディケア税の課税されない課税収入のラインが単身の方で23,226ドルから23,365ドルに上がります。ファミリー、カップルの場合は39,167ドルから39,402ドルに上がります。つまり、単身の場合課税収入23,365ドルまではメディケア税がゼロ、ファミリー、カップルの場合は合計課税収入が36,925ドルまでメディケア税がゼロとなります。メディケア税の減額範囲のラインも上がります。
引き続きコロナウイルスに振り回された2022年。出勤するために必要なRATやPCRといったコロナウイルス検査キットの購入費用が経費となります。あくまで仕事のために検査した費用で日本に帰るためのコロナウイルス検査は経費となりません。また、雇用主が従業員のためにコロナウイルス検査キットを購入した場合でもFringe Benefit Tax(フリンジベネフィット税)の対象となりません。
ロジックから行くと、日本などに行く場合のコロナウイルス検査費用は仕事の出張の場合は経費となる可能性があります。
JobSeeker、Youth Allowance、Age Pension 、Austudyといったセンターリンクから生活保護などの補助を受けている方は2022年4月に250ドルもらえます。しかも、この250ドルは非課税です(税金がかからない)。
ガソリン料金高騰に伴い政府の補助の上でガソリン価格の高騰を抑えます。
政府がバックに付いて頭金が低くとも、マイホーム購入ローンを借りやすくなるNew Home Guarantee Schemeの年間上限数が35000から50000に増えます。条件を満たせばFirst Home、初めてのマイホームでなくともマイホーム購入で使うことができるようになります。
永住ビザ発給上限を予定の109900から160000に引き上げ。
経費計上できる募金先に以下が加わります。
- Melbourne Business School Ltd
- Advance Global Australians Ltd
- Leaders Institute South Australia Inc
- St Patrick’s Cathedral Melbourne Restoration Fund
- Up to 28 Entities Related to Community Foundations Affiliated with the Peak Body
- Community Foundations Australia
2023年からの雇用主が払うスーパーアニュエーションの増額は0.5%、10.5%で予定通り(2022年は10%)。
センターリンクからの国からの有給育休であるParental Leave PayとDad and Partner Payが合体されます。その結果18週間だったParental Leave Payが20週間となります。また受給条件である家族収入が350,000ドルに上がります。
スモールビジネス
最初の二つは特に面白いビジネスの変更。
Skills and Training Boostという従業員のスキルアップ向上のための学費を支払った場合、追加で20%増しで経費となります。2022年3月29日19時30分以降の経費が対象です。これはオーストラリアの学校のコースへ行く学費でオンライン受講でも構いません。
英語学校はロジックから行くと、そもそも経費計上できないのでこのSkills and Training Boostも適用外と思われます。
Technology Investment Boostというポータブルディバイス、オンラインサブスクリプション、セキュリティー対策費用といった経費が20%増しで経費となります。最大額は100,000ドル。最大額が100,000ドルですので最大20,000ドル分経費額が増します。2022年3月29日19時30分以降の経費が対象です。ビジネスのIT化の一助となります。
IT化を進め、それに伴う従業員教育に費やせば、一つのプロジェクトで上記の二つの両方の恩恵を受けることができます。会計ソフトなども対象になる可能性が濃厚です。
予定納税の減額
予定納税が何かはこちら
コロナ補助金の非課税となる補助金が加わります。今まで恩恵のなかったQLD州やSA州の補助金が非課税(税金がかからない)となります。
- New South Wales Accommodation and Support Grant
- New South Wales Commercial Landlord Hardship Grant
- New South Wales Performing Arts Relaunch Package
- New South Wales Festival Relaunch Package
- New South Wales 2022 Small Business Support Program
- Queensland 2021 COVID-19 Business Support Grant
- South Australia COVID-19 Tourism and Hospitality Support Grant
- South Australia COVID-19 Business Hardship Grant
年商5ビリオンまでのビジネスの減価償却資産一括計上(2020年10月6日以降購入)Temporary Full Expensingが2023年6月30日まで延長されます。
毎回の給料を報告しているSingle Touch Payroll。従業員の給料の情報がますます多くの政府機関で共有されます。
IT、クリーナー、建築、運送、セキュリティー、電気、水道業界などが毎年一回申告しないくてはならないTaxable Payment Annual Reportの申告サイクルが毎年からBASと同じ3か月に一回に変更可能。
Boosting Apprenticeship Commencement (BAC) 、Completing Apprenticeship Commencements (CAC) といったアプレンティスを雇った際の補助金の延長。
何かお金がもらえるわけではありませんが、その他にもツーリズム、観光業への予算投入増、スモールビジネスに関わる予算投入増があります。