今回のコロナ禍で時間ができたり、何か世界のスタンダードが変わるのを肌で感じたり、残念ながら失職し次を見ている方もいらっしゃると思います。その中で何か自分で始めよう、という方もいるでしょう。
ビジネスを始める際最初に思いつく、必要なアイデア、こんなことをしよう。いろいろなアイデアがあり、それを元にビジネスを始めていきます。新規事業かもしれませんし、既存のビジネスを購入するなど、ビジネスを始める方法はいろいろあります。
さてこの際に注意しなくてはならないのが、
お金をどうやって儲けるのか
です。
ボランティアならまだしも、ビジネスとして行う、自分の時間、お金を使って始めるのですから、当然
収益性を考える必要
があります。
しかし、多くのビジネスを見てきて、この収益性を考えずに始める、行っているビジネスがものすごく多いのが現実です。いいアイデア、商品、料理、サービスなんだけど、お金にならない、というケースです。
お金を出してもらえるのか、どれくらいの数売れるか
ご自分が使う方のお客様になってみると分かります。そのサービス、商品を購入するにおいて、一番考えるポイントはどこでしょうか?
そう、財布を開くか
です。
逆の立場になり、サービス、商品を売る方になった場合は
どうやって財布を開いてもらうか
が難しいポイントです。
例えば、無料のヨガ教室なら行くが月謝がかかるなら、うーん、とか、オンラインサロンがタダなら参加するけど月々30ドルなら、うーんとか、30ドルくらいなら出せるけど90ドルはちょっと、といった感じです。よくあるシチュエーションです。
ここの壁を越える必要があります。
この財布の紐を開くのにはまず商品、値段、価格があるでしょう。価格弾力性の箇所でもお話しましたが、これは商品、サービスにより異なります。これにはマーケティング戦略も絡んできます。マーケティングはお客様を集める仕組みです。そのためのマーケティング戦略についてはここでは置いておきますが、お金を払ってもらう仕組みづくりが必要となります。
お金を払ってくれたとしても、では何人がいくらで、という話になります。1つ、1回1ドルの商品でサービスが大人気となり、100人集まったとしても総売上はマックス100ドルです。逆に100ドルの商品、サービスに1人しか集まらなかったとしても総売上は100ドルです。お金を払うならやめておこう、と1人もお客様が集まらないかもしれません。仮に集客がうまくいき、多くのお客様が集まってくれたとしても、売上にしたら大した金額にならないかもしれません。購入するお客様が殺到しても、キャパシティー(捌ける量)が限られているビジネスは仮にお客様が来てくれても総売上はキャパシティーと価格を加味すると伸びない可能性があります。例えば、1回20ドルですが、1日に捌ける量が4人だとすると、その時点でマックスの総売上が80ドルとなります。
ある程度シミュレーションするだけで違う
ビジネスを始める際に、値段がいくらで、それに対しどれくらいの人が購入する、利用するか、を考える必要があります。これは利益の公式 – ビジネスはこの式に集約されるでも説明していますが、売上をあげる上で重要な指標となります。
例えば、自分が値段を1回10ドルで設定します。利用者が1日3人なら、1日の総売上は30ドルです。月に25日として、月で750ドルです。そうすると年商は9,000ドルほどです。つまり、この時点でマックス9,000ドルが確定なわけです。
これはあくまで総売上なので、ここから費用が出ます。この9,000ドルが多いか少ないかはビジネスを行う方がどれくらいの時間をかけるか、お金が必要か、どれくらい稼ぐことを目標にしているかにもよります。副業で空いた時間で行うなら悪くないかもしれません。しかし、フルタイムで行うとなると年間たったの9,000ドルです。1日10人で、年間マックス30,000ドルです。
この売上予想をしないでビジネスを始めてしまうために始めたわよいが案外儲からない、全然儲からない、お金にならない、お金がなくなった、ということが起こります。これに加え、もっと踏み込み本来はどれくらいの費用がかかって、結局どれくらいの利益が残るのか、まで本来は計画を立てるべきではあります。そして、自分の掛けた時間も立派な費用です。これは別の機会で話しますが、何かできなかった時間も立派な費用です。
例えば、オンライン英会話を開きます。1人月29ドル。100人会員が集まったとして、月2,900ドル、マックスで年間34,800ドルです。ここから費用の一番大きなウェイトを占める先生の給料、および諸経費が払われます。先生の数のキャパシティーもあるため、実際希望者が500人になっても先生を確保しないとキャパシティーオーバーになるかもしれません。逆に先生も確保でき、会員が1000人になったら、年商は348,000ドルにもなります。
次に、レストランを買うことを考えてみましょう。ビジネスを買う際は(正しいかどうかは精査の必要があるとして)前のビジネスオーナーがどれくらいの売上を上げていて、どれくらい費用がかかり、利益はどれくらいだったのか、ということがある程度は調べられます。ただ、記帳(ビジネスの収支記録)自体が正しくなく、それを元に作成された決算書自体の数字が怪しい、担当会計士がアッパラパーで決算書自体が正しくない、キャッシュペイで人件費が表面上ないことになっているなどということも考えられます。
それよりも、そのお店の広さ、客足を自分の目で見てみましょう。メニューから客単価がいくらで、何回転により、何人のお客様が1日、1週間に訪れるのか。これである程度の売り上げの予想が立てられます。客単価30ドルで、毎夜大体1回転、席数30。席が全部埋まったとして1日の最大売上900ドルです。これは席が全部埋まる、というストーリですが、席が半分しか埋まらないと、たったの450ドルです。ここから人件費、レント、仕入れが払われます。売上からの%を見ることでこれらの費用が売上の割に高い、なども見えてきます。これにより高いお金を叩いてまで、このレストランは買いではない、という結論に至ることもあるかもしれません。
ほとんどの方がビジネスを購入した後に私のところに税務などについて相談に来ます。しかし、本来は購入する前にご相談いただければよかったというケースは多々あります。
あれだけ、車や不動産を購入するのにオージーより慎重な日本人が、ビジネスを購入する、始める際はいとも簡単に行ってしまう、という傾向は見られます。
ビジネスプランを最初に考えてみるでも述べていますが、あくまでこの収益性の検討もこのプランニングの1つです。これをやりたいというアイデアも大切ですが、他にも本来はプランニング、どのように運営していくか、稼いでいくかの地図が必要なのは言うまでもありません。
そして、一番重要なものは、そう
情熱
です。