タックスリターンの“タックス”(税金)とはそもそも何なんでしょう。今まで税金というものを知らない成人がいるとは思ってもみませんでしたが、意外と多いことが分かりました。この辺りをきちんと教えない日本の教育も問題でしょう。
税金はその国に住む者、関わる者のメンバーシップ代(会費)である
税金は行政(国や州、県、町など)が徴収するお金です。税金は国を支えるのに必要なもので、道路、橋、公共施設の建設および管理、公共交通、公立学校、医療、警察、消防、ごみ収集、その他公共サービス、ファミリータックスベネフィット、センターリンクからの給付金など、国が支払っている事業に使われます。国がどこまで絡んでいるか、民間が行っているかの話はここでは置いておきます。
考えてみるとわかるのですが、毎日使っている信号、道路は誰がお金を出して作っているのか、管理しているのか、ファミリータックスベネフィット(子供手当)をもらっているが、そもそも一体どこからそのお金は来ているのかを考えると分かるでしょう。天から降ってくることはありません。
その国で生活する人から税金というお金を徴収し、その国で生活する人のために使うのが税金です(必ずしも国内のみとは限りませんが)。その国の会費のようなものと考えれば分かりやすいかもしれません。皆から徴収した会費をメンバーで分配したり、何かに役立てましょうということです。この会費としていろいろな税金の種類があり、収入によって会費が決まったりします。
ちなみに、タックスリターンを申告した後、Notice of Assessmentという書類が届きますが、それと一緒にTax Receiptというカラフルなグラフが載った書類があるのに気付いた方もいるかもしれません。これがオーストラリア政府がその納税者の税金を何に使っているのかというのを表したものとなります。
以前、追加納税の多いワーホリの方に『一年間お世話なったオーストラリアに払うのなら心置きなく払えます』とおっしゃっていた方がいて感心したのを覚えております。
だからこそ税金は無駄使いしてほしくない
税金の無駄使いなど、よくニュースになりますが、これは皆から徴収した税金が正しく使われていないために起こります。上記の会費を集めるのはいいが、ある一定の会員の便益にだけ使われるため問題となります。だからこそ、税金を使う事業で不正をし逮捕される政治家がいたり、給付金を不正受給して摘発されるのです。
オーストラリアにもいろいろな税金がある
タックスリターンで払う税金はIncome Tax(所得税)という税金ですが、税金には他にもいろいろあり、オーストラリアでは
- Income Tax(所得税)
Company Tax(法人税)、キャピタルゲイン税などはこれに含まれます。 - GST(消費税10%)
- Medicare Levy(メディケア税)
- Fuel Tax(ガソリン税)
- Tobacco Tax(たばこ税)
- Luxury Car Tax(高級車税)
- Fringe Benefit Tax(供与税)
- Payroll Tax(州の税金)
などたくさんあります。
GSTは働いていなくとも何かを買うと発生します。
お小遣いをもらった子供もColesでチョコレートを買って納税しています。
ちなみに日本では先日長い議論の末、消費税の10%の増税が決まりましたがオーストラリアではとっくの昔から10%です。
さて、我々に一番身近なタックスリターンで払うIncome Tax。タックスリターンの時に返金がある方が多いので気づきませんが、多くの方が税金を払っています。Income Taxは累進課税といい、収入が上がるほど税金が増えます。ビジネスをやっている方は実感があるのではないでしょうか。
センターリンクも税金から
日本人には日本より手厚い政府補助に魅力を感じる方も多い、ファミリータックスベネフィットやセンターリンクの給付金。これらは当然税金を収入源として賄われています。オーストラリアは中負担、中福祉の国で、税金もある程度は高いが、社会保障もある程度しっかりしています。消費税も10%、所得税も180,000ドルほどの収入でもう半分近く税金を取られます。
ファミリータックスベネフィットや給付金をもらっている方は、裏を返せば自分が払った税金の一部が給付金として戻ってきていると考えることができます。
オーストラリアは昨今財政難で税収増に躍起になり、センターリンクの給付金にも厳しくなっています。もし国の税収が減ると、日本ようにどんどん厳しくなり、自分が補助金、給付金をもらえなくなることになりかねません。
この税金で必ず出るのが公平性です。この公平性についてはお前ズルい、あなたズルいは税金にも当てはまる – 税金の公平性をご覧ください。高所得でファミリータックスベネフィットがもらえない、永住ビザ、市民権者ではない、子供がいないのでファミリータックスベネフィットは関係ない、などという方は便益を受けられません。例えば、ワーホリは永住ビザ保持者より多くの税金を課されていますし、単身の高所得者の税金が、ファミリータックスベネフィットが減るから働きたくなーい、という永住家族のファミリータックスベネフィットに回っているともいえます。