税法上の居住者は、日本も含め国外からの収入があれば、それを申告しなければなりません。
オーストラリアに住んでいる方のほとんどが税法上の居住者となります。
ATOの過去のProject DO ITキャンペーンでも分かる通り、ATOは海外収入に敏感です。Project DO ITキャンペーンは2014年にATOが行ったもので、
「海外収入があった人は~の期間内に正直に言えば罰金は免除してあげるよ」
というキャンペーンでした。ATOはTax Crime、脱税容疑とまで言っています。
永住権保持者、市民権保持者は、
- 日本のビジネス収入
- 日本で働いた収入
- 日本の会社からの収入
- 日本の株の配当
- 日本の銀行利息(低金利時代ですが)
- 日本にある賃貸物件の賃貸収入
- 日本の不動産の売却収入
- 日本の年金
をオーストラリアのタックスリターンで申告しなくてはなりません。もちろん、これは日本のみならず、香港やアメリカなどオーストラリア外からの収入全てです。
ブログなどで日本からアフィリエイト収入をもらっている方も多いですが、これも該当します。
ビジネス、学生、リタイアメントなどの一時滞在ビザには例外があります。
注意すべきなのは、日本で短期帰国中に働いた、学生ビザとビジネスビザ申請の間に日本で働いた、などの場合です。これもオーストラリアでの申告対象。源泉徴収表や給与明細を日本から持ってきましょう。
また、課税収入にはなりませんが、日本からの仕送りなどの定期的な贈与もタックスリターンで報告しなくてはなりません。
しかし、ここで疑問がわきます。
日豪租税条約による二重課税排除
日本の収入は日本で確定申告していても、オーストラリアでもまた税金を取られてしまうのでしょうか。世界の多くの税法は二重課税を防止しております。片方の国で払った税金分、片方の国の税金が減ります。同じ源泉の収入から複数の国で税金を取られるのはおかしいという理由からです。
日豪租税条約により二重課税を防ぐという措置が取られており、日本で支払った税金分、オーストラリアの税金が減ります。よって、日本の確定申告、年末調整の控えがオーストラリアのタックスリターンで必要となることがあります。
また、マイナンバー制度の開始で日本の税務署が国民の収入を把握しやすくなりました。ATOも日本の税務署に連絡すると、今までより容易に我々の日本での収入情報が入手できるようになる可能性があります。
弊社のクライアント様にも日本で賃貸に出しているマンションをATOが指摘してきています。一体どこから情報を仕入れてくるのだろう、ということですが、世界中の国税庁は情報を頻繁にやり取りしています。
経済のグローバル化時代に伴いATOも国間の資金移動に敏感です。資金移動があった場合には、そのお金がどこから来たのか、他国に収入源があるのではないか、というのがATOの言い分です。日本からの資金移動が、日本にある貯金など課税対象ではない場合も、それを説明できる証拠を残しておきましょう。
ちなみに、オーストラリアに来る前に日本で貯金したお金をオーストラリアに送金しても申告の対象とはなりません。送金自体は収入でもなんでもないからです。貯金箱Aと貯金箱BがありAからBへお金を移動してもトータルのお金は増えていないのと一緒です。