タックスリターンには都市伝説が付き物です。素人が勝手にブログなどに書いたり、話が湾曲されて伝わったりと原因はいろいろ。Ezy Tax登場までは情報がなかったことも理由かもしれません。
メディバンクやBUPAなど私的健康保険を掛けていればメディケア税がなくなる
私的健康保険はMedicare Levy SURCHARGEという高所得者または高所得世帯にのみ課税される追加のメディケア税は回避できますが、普通のメディケア税は回避できません。つまり、私的健康保険は普通のメディケア税には作用しません。ちなみに、私的健康保険がタックスリターンに関係するのは永住ビザ保持者と市民権者のみです。ビジネスビザや学生ビザに付随する保険はタックスリターンには関係ありません。
2つ以上仕事をしたら税金をたくさん取られる
当たり前ですが、そのようなことはありません。税金額は同じ年度内の課税所得の合計に対して計算するので、いくつ仕事をしていようが関係ありません。1つの仕事で60,000ドル稼ごうが、3つの仕事で60,000ドル稼ごうが払うべき税金は同じです。このような嘘の噂が流れるのには理由があります。同一会計年度内に同時でも転職で仕事を変えても2つ目以上仕事をしている場合、2つ目からは高い源泉徴収率を使う方が望ましいことがあります。それを雇用者に伝え忘れた場合、タックスリターンを申告すると、源泉徴収額が足りなく追加納税になることがあるからです。返金どころか払うことになるので、何か“損をした気”になります。もう1つの理由が、2つ目以上の収入は高い源泉徴収率を使うので、手取り額が減りたくさん税金を払った”気になる”だけです。
300ドルはとりあえず経費計上できる
300ドルまでは領収書なしで経費計上できます。しかし、領収書が必要ないというだけで、使っていない架空の経費を計上できるわけではありません。使ったという事実が必要で、メモや他の証拠が必要になります。この300ドルは今ATOが注視している分野です。
仕事中に着る服、靴は経費になる
洋服で経費になるのは、安全用、お店や会社のロゴの入ったユニフォーム、シェフや医者のようなインダストリー指定のユニフォームです。靴は先に鉄の入った安全靴や職業により滑り止め靴など怪我から守るための靴のみ経費計上できます。外で働く方は日光から体を守る帽子が経費計上できます。ビジネススーツや仕事中に着るTシャツ、ズボン、黒いスラックスなどは経費計上できません。現在のATOの注視スポットです。
タックスリターンには時効がある
当然ですが、そんなことはありません。申告義務は一生消えません。タックスファイルナンバーがある限り毎年最低でも申告義務なしの届け出が必要となります。未申告は罰金の対象になるのはもちろんですが、ファミリータックスベネフィットを受給している方は支払いが止まります。
結婚していないなら配偶者欄は入れなくてよい
法律上結婚している場合もディファクト関係で結婚していない場合でもディファクト関係にある場合はSpouse Detailsの申告が必要です。また、扶養の子供の数も必要で、パートナーの連れ子の数なども場合によっては必要で、多くの場合入れた方が有利になります。
家で仕事をしているので、家賃が経費計上できる
家で仕事をしているからといってレントや持ち家のレイツなどは経費計上できません。雇われている人でレントを経費計上できる人はかなり稀で通常は家で仕事をしているからといってレントは経費計上できません。ビジネスの場合は場合によりできますが、こちらもただ家で仕事をするというだけでは経費計上できません。光熱費はレントと異なり利用記録を取っておくことで経費計上できます。
経費は使った金額戻ってくる
経費はその使ったお金自体がもらえるわけではありません。税金のかかる収入を減らすにすぎないのです。税金額 = (収入 – 経費)x 税率なので、経費により減る税金は 経費 x 税率分です。100ドル経費を使って、100ドル返金が増えるわけではありません。こちらもご覧ください。
収入が低いから、返金が少ないからタックスリターン申告しなくてよい
タックスリターンはただの法令順守(法律で義務付けられている物)です。タックスファイルナンバーを持っている限り最低でも毎年申告義務なしの届け出が必要となります。また、収入が低くとも、収入から税金を引かれている、ABNで働いているなどという場合は収入に関係なく申告義務が生じます。申告条件は10以上あります。
ワーホリでも半年オーストラリアにいれば税法上の居住者になる
ワーホリは学生ビザ、ビジネスビザ、永住ビザ、パートナービザを申請した、などという方以外はワーホリビザ保持者というだけで基本的に全員税法上の非居住者です。その中で居住者としての条件を満たす方もいますし、居住者として申告してもATOが勝手に非居住者にひっくり返すことが多です。半年オーストラリアにいればよいというものでもありません。これはもう通用しなくなりました。