年収30,000ドル、50,000ドル、100,000ドル、1ミリオンいろいろな収入の方がいらっしゃいます。あの人は100,000ドルもらっていいなあ、という方もいいなあと思う方もいるでしょう。
では、収入によってどれくらいオーストラリアで税金を払っているのでしょうか。
しかし、オーストラリアの税金も日本同様に累進課税制度です。これは収入が上がると税率が上がり、それと共に税金額が上がり、自分の収入額に対し税金を払います。これがビジネスをしている場合はカンパニー(法人)にした方が節税になることが多い理由でもあります。年収いくら、というのはあくまで税金を払う前の金額であり、使える金額ではありません。年収は全て自分のお金ではない – 新庄剛志氏がハマった税金の罠もお読みください。
さて、オーストラリアは中負担、中福祉の国で、税金はそれなりに高いですが、日本人にも大好きな方も多いセンターリンク様がいる国でもあります。その分それなりに社会保障もしっかりしています。オーストラリアは180,000ドルを超えると、超えた部分は半分近く取られる国です。日本でも現在議論になっている消費税の10%への増税もオーストラリアではとっくの昔から10%です。税金については税金とは結局何なのか?を。ちょっと考え方が変わるかもしれません。
そもそも、タックスリターンというのは返金をもらうためのものではなく、自分の収入を国に報告し、この税金を納税する制度にすぎません。たまたま、過払い分の税金が戻ってくることが多いのでなんか得をした気分になるだけです。
税金ってどれくらい取られているの?
オーストラリアの税率の説明自体はあまり知っていても意味はなく、我々税理士に相談をすればよいだけなのでここでは省きますが、収入が上がってもその収入幅ほど手取りが増えていない、結構な税金を取られている、というのを簡単に見てみましょう。一億円プレーヤーの手取りがいかに少ないかもイメージできます。
収入に対して、所得税(Income Tax)とメディケア税(Medicare Levy)がどれくらい課税され、どれくらいの手取りになるのかをざっくり示した表が以下になります。
収入 | 所得税 | メディケア税 | 手取り |
$20,000 | $0 | $0 | $20,000 |
$50,000 | $6,467 | $1,000 | $42,533 |
$80,000 | $16,467 | $1,600 | $61,933 |
$100,000 | $23,717 | $2,000 | $74,283 |
$150,000 | $42,997 | $3,000 | $104,003 |
$180,000 | $54,097 | $3,600 | $122,303 |
$200,000 | $63,097 | $4,000 | $132,903 |
$500,000 | $198,097 | $10,000 | $291,903 |
$1,000,000 | $423,097 | $20,000 | $556,903 |
$2,000,000 | $873,097 | $40,000 | $1,086,903 |
- 税率および低中所得者税控除は2019年7月から2020年6月の2020会計年度のものを利用。
- 学生ビザ、ビジネスビザ、リタイアメントビザなど一時滞在ビザの場合は正しく申告するとメディケア税がゼロになります。
- ワーホリは異なる通称“バックパッカー税”というワーホリ専用高税率が適用されるのでこの表には当てはまりません。納税額は多くなります。
- 同じ収入でも家族構成、家族収入やセンターリンク、ビジネス、投資収入なのかなど収入の源泉によっても変わってきます。
- 単身で収入90,000ドル、家族収入180,000ドルを超えるカップル、家庭の場合はPrivate Health Insurance(私的健康保険)に加入しているものとしています。
- 収入というのは雇用収入(雇われ収入)、株の配当、不動産賃貸収入、銀行利息のような投資収入、ビジネス収入、日本からの収入を合わせたものです。
- ここでの“収入”というのは経費を引いた後で本来は課税収入を指しますが、ここではイメージし易いよう収入と呼んでいます。
ここから考えられることは、例えば、
年収20,000ドルの場合は税金がゼロです。メディケア税も課税されません。
年収100,000ドルから200,000ドルの場合、年収は200,000ドルと聞こえはよいのですが、実際の手取りは100,000の差はつきません。132,903ドルから74,283ドルを引いた、58,620ドルの手取りの増加です。
年収1ミリオンのミリオネアーの手取りは実質556,903ドルです。手取りは半分ほどにしかなりません。逆に、年収50,000ドルの場合の手取り額は年収の80%を超える42,553ドルになります。
よく税金が上がるので働かない方がよいか、という質問を受けることがあります。20,000ドル稼ぐと税金がはゼロですが、手取りもゼロです。1ミリオン稼ぐと半分弱の税金は取られても、手元には500,000ドル以上残りますので、当然稼いだ方が自分の富は増えます。
また、お気付きのようにメディケア税というのが結構な額あります。基本的に課税収入の2%です。永住ビザを取ると病院が無料になる、ということを聞くかもしれませんが、実際はタックスリターン時にメディケア税としてきちんと取られています。むしろ、そんなに病院にお世話にならないよ、という方の方が多いかもしれません。単身で年収80,000ドルの方が年間1,600ドルも病院にお世話になるか、と言われるとそうでもないでしょう。高所得者、高所得家庭の場合、私的健康保険に加入していない場合はMedicare Levy Surchargeという高所得者用のメディケア税を追加で課税されます。
そこでここで重要になってくるのが、スーパーアニュエーションを使った節税や経費です。次回は収入によって経費をどれくらい使うとどれくらい節税になるのか考えてみましょう。