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お金とは何なのか – お金の奴隷になる人とお金と一緒に働く人

毎日目にするお金。投資や何やでお金に執着心のある方も多い中、そもそもお金って何なのでしょうか?子供にお金って何?って聞かれた際に答えられない方もいるかもしれません。

お金ってそもそも何なのか

お金の中の貨幣、紙幣というのは元々その国の中央銀行が発行した商品券のようなものです。日本なら日本銀行が発行した金券(お金の価値のある券)、オーストラリアも同じくオーストラリア中央銀行、Reserve Bank of Australiaが発行した金券です。中央銀行が発行した銀行券を我々はお金と呼び、人によっては心揺さぶられるわけです。仮想通貨も取引で儲けようとしているのが今の現状ですが、本来何かを買えるというお金の一種です。

お金はそもそも何故できたか

さて、このお金とはなぜ誕生したのか。簡単に言うと交換手段がないと不便だからです。

例えば、お金のない世界を考えてみましょう。一発成金さん(Ippatsu Narikin)がリンゴを持っているとしましょう。そして、江華介鳥さん(Kouka Kaitori)がバナナの有名なQLD北部産のバナナを持っているとしましょう。一発さんはリンゴはもう飽きたので必要ありません。江華さんはバナナの食べ過ぎでバナナはもう一杯です。お互いが会ってお互い、リンゴがほしい、バナナがほしい、と思えば交換します。一件落着。

しかし、一発さんはリンゴはいらない、バナナがほしい、江華さんはバナナはいらないんだけど、リンゴもいらない、イチゴがほしいとなると両者の欲しい物にズレが出てきます。そうなると江華さんはバナナを手放してリンゴと交換しません。

ここに、イチゴを持った岡根我全(Okane Gasubete)さんが来ます。江華さんはイチゴがほしいので岡根さんにイチゴとバナナを交換しようと持ち掛けるが、岡根さんはバナナではなくリンゴが欲しい。リンゴを持っている一発さんはバナナがほしい、となると交換が成り立ちません。しかし、江華さんは一回リンゴとバナナを交換しリンゴをゲットします。その後岡根さんとバナナとイチゴを交換します。そうすると江華さんと岡根さんはリンゴとイチゴを交換できます。

しかし、これが3人でもなく、リンゴ、バナナ、イチゴの3品ではないとすると、それはもう大変です。そこでお金という

間に挟むリンゴでも、バナナでも、イチゴでもないそれだけでは役に立たないただの仲介交換手段

となるものが登場します。一発さんは江華さんにリンゴを10ドルで売り、10ドルの“お金”をゲット。そのお金を持って岡根さんのところに行き10ドル渡してイチゴをゲット。岡根さんは10ドルを江華さんに持っていきバナナをゲットです。

このように何かが欲しい、という際に“交換手段”となるのがお金です。

このお金を国が貨幣、紙幣として発行し、我々は生活しています。今は国間でその金券同士の交換も行われます(両替)。

上記のようにお金はただの交換手段でただの紙切れです。オーストラリアにいてもわざわざお金稼ぎにオーストラリアに住んでいるのか、インチキしてまで稼ぐ、日本でお金が稼げなく苦しいからオーストラリアにいるのか、という方にも会いますが、お金が何か欲しいものをゲットする際に役に立つのは事実です。それが多ければ多いほど欲しいものが手に入る、という人間の欲望に問いかけ、お金が欲しいという欲に繋がってきているということです。

お金で何を買っているのか

ではその物だけでは役に立たないお金で何を買っているのでしょう?

欲しい物を買いたい、生活に必要だから、というのは当然ですが、お金はそもそも紙切れですのでそれだけでは本来何も役には立ちません。

私が思うにお金は大きく、生きていくため、他人より上と思いたい、モテたい、いいモノ食べたい、やりたいことを満たしたいといった、

安心、満足感を買っている

のです。

  • Coles やWoolworthsで食事の材料を買うというのは生きていくための朝食、昼食、夕食の材料を買っているのです。これがないと生きていけません。
  • テルストラの携帯電話を契約している。これは携帯電話がないと不便、恥ずかしいなどといったプライド、他人と一緒、何かあった時にすぐに連絡できるという安心感、気持ちを購入しています。そもそも30年前の人々は携帯電話もなく生活していました。私も若いころ公衆電話どこだ、と探したり、公衆電話に並んでいた記憶があります(何歳なんだ!)別にプリペイドの安いプランでもいいですし、電話なんてわざわざ携帯しなくても構いません。本来iPhoneでなくてもいいわけです。
  • ヴィトンやコーチのバックを買う。本来は何か持ち運ぶのにバックが必要なら何でもよいのにわざわざヴィトンやコートのバックを買う。これはバックというなら安いバックでも何でもいいのですが、人に見せたい、何かステータスが欲しいといった、何か他人より優位に立ってうれしい、といった気持ち、自己満足を買っているのです。バックという持ち運び手段だけを買っているわけではありません。
  • マイホームを買う。周りが皆買っているプライド、老後に住む家が必要、こんな家に住みたい、快適な生活といった自分の理想を実現したいという気持ちを満たしたいという気持ちを買っています。

そして、お金があって収入源があったり、貯金があれば何かあった時に生きていけるといった、念のための時に何とかなるという気持ち、自分は他人より優れている、チョー嬉しいとかいった安心感、満足感を買っているのです。

レクサス、ベンツ、BMWなどの高い車を買う、なども同様です。本来別に車なんて走ればよいわけです。高い車でなくてもそれなりのがいい、という方でも途中で止まらない、壊れない、といった安心を買っています。

手術に大金がかかる病気になった際にお金があれば手術が受けられるかもしれないという安心、コロナ禍のように収入がなくなった、減った際にお金があれば安心というのも同じです。

このように、生きていくために食べていく、他人より何か優位、何かあったら時どうにかなるといった安心感、満足を買っています。

お金を稼ぐことは悪なのか

特に日本人にはお金を稼ぐ、持っているというのが何か人に言えない、悪いことみたいに考える方もいます。日本人には人に年収を知られたくない、といった方もいます。もちろん、インチキ、悪いことをしてお金を稼いでいる、持っているという方もいるかもしれませんが、そうでなければ、

  • お金を稼いで使うことは経済を活性化します。
  • 税金を払い他の方の役に立ちます。
  • お金を稼いでいるという方はそれだけ多くの方に価値を提供しています。
  • 自分が頑張ってきたことの1つの結果です。
  • 次の時代を担う子供達に使えます。
  • やりたければそのお金で社会貢献もできます。

つまり、お金を稼いでる方は世の中を幸せにできる可能性があるということです。そして、自分が役に立っているからこそ、またお金が舞い込んでくるというサイクルになります。

お金持ちとは

よくあの人はお金持ちだ、と言いますが、お金持ちには2種類のお金持ちがいます。

  1. 収入が高い
  2. 貯金などの持っている資産が多い

の2つです。

収入が高い

1は会計でいうとProfit & Lossの発想です。お金を生む源泉を持っており、その源泉がお金を生んでいるということです。中にはパパ、ママの会社で働いたりという方もいますが、通常高収入の仕事に就いている方はそれだけの能力、スキルからお金をもらっている、それだけ稼げるビジネスをしている、投資でお金を生んでいる人も投資収入を生む金融資産、不動産がお金を生んでいるということです。しかし、収入が高いというのは一過性のものなど、いつまで続くか分からないという側面があります。病気になって働けないとなると今まで多かった収入がゼロになりますし、次年度はどうなるか分からないプロ野球選手、芸能人の一発屋とか、YouTuberなども典型で今はよいがいつまで続くか分からない、という状態です。

貯金などの持っている資産が多い

これに対し、2は会計でいうBalance Sheetの発想で、貯金が多いなどといった場合です。お金持ちの親に甘えてや宝くじに当選したといった場合も同様です。この場合お金を生む源泉を持っていないのでその貯金なり、資産がなくなると一気になくなります。2がある方は1を作ることも可能なのですが、自分で資産を築いていない場合の多くは1のやり方が分からない、そもそも能力がない、などで結局ある物を使い果たすと終わってしまいます。宝くじで1億当てた方がその後不幸になるという話やお金持ちの2世がにっちもさっちもいかないというのは、自力で稼いだお金ではないのでお金の使い方を知らずにお金を持ってしまうからです。

本当のお金持ちは1があり、それにより2があり、2を使って1を生む、というサイクルを持っているのです。

しかし、収入が少ない人に限って1を作ろうとせず2を目指してしまいます。

同じお金を使うにも意味、役割がある、というのはまた機会があればセミナーなどで。

お金のプレッシャーは年収がいくらになっても変わらない

その辺りの会計事務所の数ではなく数万人の方のタックスリターンを行っています。年収ゼロから1ミリオンの方までいます。雇われている方から、ビジネスで稼いでいたり、投資で稼いでいる、親にもらったなど源はいろいろな方がいらっしゃいます。

しかし、よく気付くのが

いくらすごいなあ、いいなあ、と思う方でももっとお金が欲しい方がいるのです。年収ウン十万ドルの方がセコイことをしてまでタックスリターンの返金が500ドルと1,000ドルを気にする方もいます。もちろん、可能な限り税金を減らすという姿勢は大切です。

これは何故なんだろうと考えてみたことがありました。なんでこんなに収入が多いのにお金がない、とかもっと欲しいとか言ってるんだろうと。

1つ見えてきたのが、例えば、年収1ミリオンの方はシドニーなどに5ミリオン、10ミリオンの不動産をローンで購入します。ローンの金額も半端でない。年収40,000ドルの方は5ミリオンのマイホームといった不動産を購入したくてもローンが組めないので300,000ドルや500,000ドルの物件をローンで買います。ランボルギーニに乗るためにローンを組んだ、お金を使ったなども同じです。そうなるとどうなるか。

ローンの支払い金額や生活に必要なお金の収入に対する割合は同じになってくるので支払いのプレッシャーは変わらないのです。

つまり、そういう高所得者にはその人なりにそれだけのローンやそれだけの生活水準があり、収入に対する出費の割合が変わらないということです。収入の多い方は食べるものも一番安い物でもない、マイホームなどの不動産も金額の高いものを購入しようとする傾向が高くなるわけです。年収500,000ドルの方が150,000ドルのアパートを買うケースは少なく、1ミリオンの物件を買うというケースが多くなるわけです。もちろん、これはあくまで傾向です。

これがもっとあれが欲しいなどといったお金が欲しいという欲の原因となり、いつまでたっても、いくら稼いでも何も変わらない、稼いでも稼いでもお金がないといったことが起こってしまう理由です。つまり、切りがない。

アメリカのメジャーリーグ(アメリカのプロ野球)で活躍するダルビッシュ有投手がTwitterで言っていたのが心に残っています。ダルビッシュ有投手といえばアメリカメジャーリーグでも活躍する超一流の投手で、当然年俸も半端ではありません。そのダルビッシュ投手の投稿を見た誰かがそんなにお金稼いでいるのなら寄付でもしたらどうかと。その対応が、ダルビッシュ投手は本人なりにここまで来るまで血のにじむ努力をしてきてそんなこと言われる筋合いはない、といったものでした。これは当然で、もちろん前妻のサエコさんや子供の養育費もあるでしょうが、本人は本人なりにそのお金を何かに使っていますし、プロ野球選手という遅くとも40歳で引退、いつ収入がなくなるか分からない職業と戦っているのです。

子供になぜ勉強が必要なのか、と言われたら、それによりお金を稼げる可能性があり、それにより自分のやりたいことの選択肢が増えたり、食べたいものが食べられたりする可能性が増えるからだ、と説明しています。

お金で幸せになれるのか

これは永遠のテーマでいろいろなところで聞きます。特にこのコロナ禍ではあれだけお金を持っていて、不自由していない(ように見える)人が何で自殺とかしちゃうんだろう、といったことも起こっています。これはお金があれば楽しいのか、幸せなのか、ということを問いかけています。もちろん(ここでは説明しませんが)欲求問題があり、欲求段階での満たされている、満たされていない、という問題もあるにはあります。お金があっても家庭問題が大変、有名になりたいがなれないといったこともあるでしょう。健康を害した方からすると生きているだけで幸せ、砂漠に住んでいて水があるだけで幸せということもあるでしょう。

ちなみに、統計では年収100,000ドルくらいからお金と幸せ感が比例しなくなってくるというデータがあります。

お金云々ではなく今を幸せだと思える心を持てる人が幸せ

なのかもしれません。

お金をコントロールするのか、お金にコントロールされるのか

こう考えなくてはと思うようになったのはそれなりにお金が増えても全然幸せにならない、欲しい物を買っても幸せにならなかったという自分の経験があります。値段を気にせず多くのものは買えるようになったが、そもそもオーストラリアにいるのが辛いという20年、お金があっても何も解決できない、ということを感じたからでもあります。ケアンズでも東京でもメルボルン、シドニーでも、高層マンションやウォーターフロントの家などを眺めてあそこに住んだら自分は満たされるのか、と思うと、すぐに飽きるな、といった虚しさも感じます。昔何かにがむしゃらになっている時の方が、今より幸せで輝いていたようにも感じます。お金というのは面白いもので、いくらでも使えるよりもある程度モンモン何かを望んでいる時の方が幸せなのでしょう。これは有名なボクサー、マイク・タイソン氏も言っています。

在豪日本人にはオーストラリアに来てやりたいことをやっているなど、日本にいる方達には味わえないお金では買えない経験をしている方もいるかもしれませんし、それが感じられる環境にあるのは幸せです。

現在のコロナウイルスは人間の欲に問いかけているような気がします。(コロナバブルの方も多いですが)収入が減ってしまうといったお金の問題だけでなく、補助金をできる限りたくさんほしい、Lock Downで家にいないといけないが外に出たい、誰かに会いたい、外食したい、日本に帰りたい、旅行に行きたいといったやりたいことを我慢しなくてはならないという人間の欲に問いかけているような気がしてなりません。