去年は多かったのに今年は返金が少ない、去年は返金があったのに今年は支払う羽目になった、なんでなんだ!がっかり!というのはタックスリターンではよく思うことであり、税理士も尋ねられます。場合によっては根拠もないのに返金が少ないのは何か間違っている!という不合理なことも多々。
そこでなぜこのようなことが起こるか考えてみましょう。
返金額は以下のメカニズムで決まります。
- 収入から引かれた税金額の合計
- 自分の課税所得に対する税金額
1が2より多ければ多く払いすぎているので、差額が返金されます。逆に2が1より多ければ、足りないので追加納税となります。これだけです。
1の税金額はどこから来るかというと、
課税所得 x 税率 – 税控除(税金を勘弁してくれるもの)
課税所得(Taxable Income) = 自分の課税収入(税金のかかる収入)- 経費
です。
収入が多くなると税金も多くなりますし(累進課税制度)、経費が多いと税金は少なくなります。だから世の中経費、経費と言うのです。
そこで今回は一番指摘の多い、
同じ会社で働いていて、収入の種類も同じなのになんで返金が激減するのか、という理由です。
1つの要因は収入が伸びた場合です。
例えば、年収が40,000ドルから60,000ドルにアップしたとしましょう。うれしい大幅増です。これに対する税金の天引きが4,000ドル増えたとします。結論から言うと、経費額が同じなら返金額は減ります。
経費をゼロと仮定すると課税所得は40,000ドルから60,000ドルに上がります。この増分に対する税金の増加は(メディケア税込み)で20,000ドル x 34.5% = 6,900ドル(上記2の増加)です。これは課税所得40,000ドルと60,000ドルの方は32.5%の税率のラインにいて、それに2%のメディケア税が加わるからです。
この6,900ドルの税金の増分に対する、税金天引き額の増加は4,000ドルです(上記1の増加)。つまり、6,900ドルの税金天引きでないと同じ水準を保てないのに、4,000ドルしか増えていないためにこの6,900ドルの増分をカバーできずに返金額が減ります。
つまり、収入増に対する税金増に税金天引き額が追いつかないからです。
ただ、1の収入から引かれる税金額が多いということはその分手取りが減ります。そしてタックスリターンの返金が多くなります。逆に1の収入から引かれる税金額が少ないということは手取りが増えます。その分、タックスリターンの返金は少なくなります。つまり損も得もしません。タックスリターンはボーナスでもなんでもなくこの1と2の調整にすぎません。
この他にも返金が突然激減する理由として
- 日本人によく起こる、永住ビザを申請したのでメディケア税が免除できなくなった。
- 市民権者の場合は課税所得がHELPの支払いとなるラインを超えた。
- センターリンクの補助金をもらった。
- 経費額が去年より少ない。
などがあります。