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年収は全て自分のお金ではない – 新庄剛志氏がハマった税金の罠

元阪神タイガースの新庄剛志氏が昔、年俸がいきなり2,200万円に跳ね上がった時に嬉しくてベンツを買ったと言います。この際、新庄選手は2,200万円もらえるのだから、2,000万円のベンツを買って、残り200万円で一年を過ごせば足りると考えたということです。その結果、お金が足りなくなり借金をしていたということです。

総収入と手取りの違いを考える

総収入、と税金を天引きされた後の手取りを考えてみましょう。これを分かっていないと、なんかお金がないなあ、とか今月払えない、などということが起こってしまいます。

年収100,000ドルでスゲー、とか1ミリオンでいいなあ、と思うことがあると思います。この年収なのですが、これは税金を払う前の金額となります。税金を引いたものが手取り額で銀行に入ってくる額です。実際年収100,000ドルの人は税金を引かれて銀行に入ってくるので、実質使える金額は100,000ドルではありません。100,000ドルの場合、税金は26,117ドルとなり、実質の手取りは73,883ドル程となります。1ミリオンの年収の方は400,000ドルを超える税金を払うことになり、実質の手取りは600,000ドルまで減ってしまいます。もちろんこれは経費は考慮していませんが、経費があってもここまで税金額が多いと大幅に変わることはありません。

さて、この総収入と税引後収入を皆様もご存じのGross IncomeとTax Withheldで考えてみましょう。Gross Incomeというのが年収です。Tax Withheldというのが雇用主が天引きし、ATOに払う税金の天引きとなります。この税金の天引きがタックスリターンを申告した際の税金の前払い分となり、この一部が返金として戻ってきます。つまり、Gross Income – Tax Withheldが手取り額として、銀行に入金されます。逆を言えば、このGross IncomeからTax Withheldを引いたものが、会計年度内の手取りの合計でないと、何かがおかしいことになります。タックスリターンのメカニズムもお読みください。

自営業者はもっと考える必要があります。自営業やABNで収入のある方は税金の天引きがありません。つまり、利益に対してタックスリターンを申告した後に税金を払うことになります。よく年商一億円のビジネスなどといいますが、これは経費も引く前であり、税金も払う前です。つまりGross Incomeとなり、実際に手元に残るお金は一億円ではありません。

新庄氏の場合も、ベンツの購入に付随する費用ももちろんですが、税金を一切考えていません。2,200万の年俸は上記のGross Incomeであり、税金を払う前の収入です。もし2,200万円の年俸で2,000万のベンツを買い、200万円で生活するとなると、当然税金が払えなくなります。つまり、年俸2,200万円ですが、使えるお金は2,200万円ではありません。

これは例えば、年収100,000ドルで生活費が40,000ドルだから、600,000ドルの自宅を購入すれば、年間残りの60,000ドルで10年でローンを返済できる、と考えるのと何も変わりません。年収100,000ドルは当然税引き前の収入なので、実際の手取りは100,000ドルより低くなるため、10年では返済できません。

オーストラリアも累進課税制度で収入が上がれば上がるほど税金も上がります。雇われている方は雇用主が毎週税金を引いているのでよいですが、自営業の方は毎週の収入からの税金の天引きがないので、お金を取っておかないと次のタックスリターンでの税金を払えなくなります。これを防ぐためATOが予定納税を科してきます。

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