オーストラリアにも投資信託(ファンド)があります。
投資信託とはお金を預けて、それをプロが運用して増やす努力をします。多くの人から集めたお金を一つにして大きな資金にし、運用のプロが投資するのです。皆から集めたお金で投資するので資金パワーが違います。この運用の腕はそのファンドを運用する人によります。彼ら、彼女らも運用がうまくいけば自分の給料が上がるので頑張ります。つまり、自分のお金を託すのです。そして手数料を払います。アメリカのトップファンドマネージャークラスは年収ウン百億円からウン千億円です。実力の世界です。
メリットは自分で投資先を選び投資するよりも、知識も、経験も、情報もある(はずの)プロにまとめて任せられる点です。
運用先はオーストラリアの株式、海外の株式、定期預金、債券、不動産、金などなどいろいろです。投資先の国も違います。ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターン、中リスク中リターンでいろいろなコースがあり、選べます。
両方とも運用ですので、失敗もあります。景気が悪くなると株価(株の値段)などが下がるので残高が減ることがあります。銀行の預金と違って元本(自分がぶっこんだお金)は保障されません。2007、8年のGFC(Global Financial Crisis)の時は多くのファンドで残高が目減りしました。
やっていることはカジノで俺に10,000ドル渡したら増やしてきてやる。増えたら10%もらうよ、減ったら自己責任ね、というのと変わりません。
この投資信託がスーパーアニュエーションとManaged Fund(マネージドファンド)です。まあ、もうちょっとあるのですが。
マネージドファンドとスーパーアニュエーションはやっていることは一緒です。
それぞれの特徴は
- マネージドファンドは引き出したい時に出せるが、スーパーアニュエーションは基本的には老後資金であるため引退または65歳になるまで引き出せない。
- マネージドファンドの運用益(お金を預けて増えた部分)には通常の税率が適用。スーパーアニュエーションは一律15%。
- スーパーアニュエーションは拠出することで税金上の優遇策がある。
- マネージドファンドは会社(カンパニー)やトラスト、パートナーシップなど個人以外の形態でも持つことが可能。
例えば、年収が100,000ドルある場合はマネージドファンドの運用益(増えた部分)に39%(メディケア税込み)の税金がかかりますが、スーパーアニュエーションなら一律15%で済みます。
つまり、収入の高い人で、お金を引き出す必要がない方にはスーパーアニュエーションは大きなベネフィットがあります。
国としては老後資金を自分で貯めておいてほしいというのが本音ですので、税制上の優遇策を設けることでスーパーアニュエーションへの拠出のインセンティブ(動機)としています。
税金上のベネフィットはありますが、スーパーアニュエーションの欠点は上記のように使いたいときに使えないことです。つまり流動性がないことです。
よって、
- マイホームがほしい(一応2017年7月からファーストホームの場合は1人最高30,000ドルまで引き出せるようになりました。ただ、細かいルール、手順があります)
- 子供の学費など急にお金が必要になる可能性がある
- まだまだ家のローンがある
- ビジネスを始めるのにお金を使う可能性がある
- そもそも老後にオーストラリアにいる気はない
など、将来現金が必要な可能性がある場合は安易に拠出するのも一考です。
スーパーアニュエーションは(一部の条件で)引き出さない限りタックスリターンで申告義務はありません。これに対し、マネージドファンドは毎年のタックスリターンで申告義務があり、引き出した時もキャピタルゲインの申告義務があります。
ちなみに、マネージドファンドに投資する際には上記のリスク(元本保証がない事と過去の実績は将来の利回りを保証する物ではない)を説明を受けて十分に理解した上で投資する必要があります。銀行や証券会社の営業、仲介ブローカーはコミッションが高い商品ばかり販売しようとしてクライアントを第一に考えない人もいます。何せ一度加入させればコミッションが入ってきますので。
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