学生ビザを取った学校の学費がタックスリターンで経費計上できるか、という質問を時々いただきます。学生ビザなどビザのことを知らない会計士の中にはできるとアドバイスする会計士がいるため、「他の会計士にはできるっていわれたんですけどーーー」といった具合に弊社でも稀に苦情となって困ることがあります。こういうのは徹底的に調査するようATOにも懇願しています。この業界、理不尽な苦情とも戦っています。
仕事に直結する学校のコースを取る場合、学費や勉強にかかる費用が経費計上できます。これは本当です。
では、学生ビザ保持者も学校に行き、仕事と直結する場合はどうなるかです。
学生ビザでオーストラリアに滞在する場合は、皆様もご存じの通り、学費を払って学校に行くことで学生ビザが発行されます。オーストラリアの学校のコースを取って、勉強するからオーストラリア政府がビザを発行します。
タックスリターンで経費計上するためには
仕事をして収入を得る→その仕事のための学校に行く
の順番である必要があります。経費ですので、収入があって初めて経費計上できるからです。経費計上の原則はその経費に対する収入にぶつける、です。例えば、将来会計士になりたいから、大学や専門学校に行く費用も経費になりません。理由は、まだ会計職としての収入がないため、ぶつける収入がないからです。これを、税法でAt a Point too Soonといいます。
さて、学生ビザの方は
学校に行く→ビザが出る→働く権利がもらえる→仕事をして収入を得る
という順番です。学費を払って、学生ビザがあって初めて働けるのです。つまり順番が逆です。上記のAt a Point too Soonと同じ理由で経費計上が却下されます。
本来、学生ビザの目的は勉強するためであり、働くことは学生ビザに付随するものです。本来の学生ビザの目的は勉強をするために学生ビザを取得し学校に行きます。働くために学生ビザがあるのではありません。
これは別の角度から考えてみれば当たり前だということがすぐに分かります。学生ビザの方は学費を払って学校に行くことで初めてビザがもらえます。その結果働くことができます。学生ビザの方は学費を払わなくてはならないので、仕事で関係あるからと皆が経費計上すると、結局は学生ビザの方への減税と何も変わらないことになります。
ただし、ホリデー中に仕事と関係する学校に行くといった場合など、学生ビザのコースにプラスアルファで取る学校に関しては経費計上が可能です。
これは
学校に行く→ビザが出る→働く権利がもらえる→仕事をして収入を得る→その仕事のための学校に行く
という順番だからです。
つまり、この原理原則から行くと、ワーホリやビジネスビザの方も仕事に関係のある学校に行く場合は経費計上できます。ただし、語学学校はダメです。