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タックスリターンの経費を別の角度から見てみよう – 経費計上の根幹はここにある

タックスリターンでどんなものが経費になるのだろう、と思っている方は多いと思います。

まず、経費というのは

課税(税金のかかる)収入に”ぶつける”

が一番大切な原則です。

経費というのは、これはOK、ダメというのもあるのですが、多くは原則グレーです。つまり白か黒は簡単に決められません。これは税金というのは税”法”という法から来ているからです。

何が経費となるかよりも、どのような状況、何のためにという”大義名分”が大きな要素

となります。これは大義名分によって課税収入のためであるか、ないかを考える必要があるからです。これに加え、

大義名分の強さ

が重要となります。

ちなみに、税法には~は経費計上可、~は経費計上不可とは一切記載されておりません。過去の判例やATOのガイドライン、税法の意味を理解して適用するのです。例えば、最近変更された出張や車の経費についてのTaxation RulingがTR 2017/D6です。

税法自体で経費について記載されているのは、Income Tax Assessment ACT 1997のSection 8-1に20行ほど載っているものだけです。その中でメインとなるのは以下のたった3行。

You can deduct from your assessable income any loss or outgoing to the extent that:

(a)  it is incurred in gaining or producing your assessable income; or

(b)  it is necessarily incurred in carrying on a business for the purpose of gaining or producing your assessable income.

これだけです。こんなのだけで納税者が分かるわけがありません。

オーストラリアの税法の根底にあるスタンスは、

生活に最低限必要な衣食住に関わるものは経費計上できない

です。

例えば、服、靴、食事、娯楽、家賃、普通自動車免許、通勤などです。ただし、これも何のために、どのような状況という大義名分で変わります。

何のため

例えば、文房具は子供の学校ため、となると経費計上できません。収入とは関係ないからです。しかし、仕事のためだと経費計上できます。携帯電話は友人とLineするため、となると経費計上できませんが、仕事のためとなると経費計上できます。これらは収入を得ることとは直接関係ない、という解釈です。仕事中の運転のスピード違反が経費計上できないのは、スピード違反の支払い自体は直接仕事とは関係ないからです。

どのような状況

例えば、仕事に直結する学費は経費計上できます。しかし、現在の仕事に関するものは経費計上できますが、何か新しい仕事に就くため、という学費は経費計上できません。食事は宿泊を伴う出張中のものは経費計上できるが、日帰りは経費計上できない、車や交通費は通勤以外なら経費計上できるが、通勤のためなら経費計上できない、などです。

関連性の強さ

これらを判断する上で重要となるのが、収入を得るためという大義名分の強さです。皆様の中には仕事のためなのに経費計上できないのは何故だろう、と思われた方もいるかもしれません。これは上記の何のため、どのような状況か、を考えた際に課税収入に対する関連性が弱いからです。仕事用の服が経費計上できないのは、仕事用という大義名分より衣類という衣食住に伴う要素が強い、出張が監査になりやすいのは、会社が出張指示しているわけでもないのに、自分が出張だと言い張るのは大義名分が弱いからです。逆に有名な例ではフライトアテンダントだけは極度の乾燥環境の元に仕事をしているため、乾燥を防ぐ化粧水が経費計上できる、女優は化粧品が経費計上できるというのは大義名分が強いからです。

このような角度から経費を説明したものはオーストラリアでは今までにないでしょう。残念ながら、多くの税理士はロジックではなく、これは経費計上できる、できないという暗記で処理してしまいます(暗記云々のどころか無知もいるのですが)。

皆様も違った角度で経費を眺めてみてはいかがでしょうか。

とはいえ、どんなものが経費計上できるのかはこちらをご覧ください。

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